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金春通りで金春流能楽祭り、大蔵千太郎や80世金春安明ら(1)
(「金春流能楽祭り」の関連イベントは2に掲載し、記事の全文を出した後に、写真をクリックすると、説明が出ます)
【銀座新聞ニュース=2010年7月26日】金春通り会と社団法人「金春円満井会」(杉並区南荻窪3-18-10、山田ビル203号、03-3331-6714)は8月7日18時から銀座金春通りで能の奉納「第26回能楽金春祭り」を開催する。
「金春通り」は銀座8丁目の中央通りから1つ有楽町寄りに入った通りの名称で、江戸幕府直属の「能楽金春流」の屋敷があり、明治以降は金春芸者などが往き交う花柳界で知られ、現在も1863年に開業された公衆浴場「金春湯」(中央区銀座8-7-5)が存在することから、この名前が使われている。
8月7日18時から開かれる「能楽金春祭り」の演目は、能楽師狂言方 (大蔵流)の大蔵千太郎(おおくら・せんたろう)さんによる「延命冠者(えんめいかじゃ)」、金春流80世宗家の金春安明(こんぱる・やすあき)さんによる「父の尉(ちちのじょう)」、大蔵吉次郎(おおくら・きちじろう)さんによる「鈴之段(すずのだん)」、金春憲和(こんぱる・のりかず)さん、高橋忍(たかはし・しのぶ)さん、金春穂高(こんぱる・ほだか)さんによる「弓矢立合(ゆみやのたちあい)」。
笛は寺井宏明(てらい・ひろあき)さん、小鼓が幸信吾(こう・しんご)さん、太鼓が高野彰(たかの・あきら)さん、後見(シテ方)が横山紳一(よこやま・しんいち)さん、後見(狂言方)が大蔵基誠(おおくら・もとなり)さん、地謡が本田光洋(ほんだ・みつひろ)さん、吉場広明(よしば・ひろあき)さん、辻井八郎(つじい・はちろう)さん、山井綱雄(やまい・つなお)さん、本田芳樹(ほんだ・よしき)さん。
能奉行は中央区長の矢田美英(やだ・よしひで)さんで、能奉行の「能楽始めませ」で、「延命冠者」と「父尉」がそれぞれ面をつけ、白式の装束で狂言方が演じる「延命冠者」から始まる。
続いて白式の翁装束に面をつけた「父尉」が天下泰平、国土安穏を祈る。さらに、「鈴の印」の鈴を振り、五穀豊穣を祈念して、足拍子で大地を踏む「鈴之段」が演じられる。最後はシテ方が演じる3人大臣の「弓矢立合」になり、奉納能の儀式が終了する。解説は能楽師の井上貴覚(いのうえ・よしあき)さん。
「金春祭り」は1985年に第1回が開かれ、以来、2010年で26回目を迎える。演目は金春流が古来より奈良の地で受け継いできたもので、「春日若宮おん祭り」で演じられる「弓矢立合」や、興福寺薪能で演じられる「延命冠者」や「父尉」などを基として構成されている。
路上での演能については、「春日若宮おん祭り」で昔から浅靴を履いて路上(鳥居の下)で演じられてきたことから、「金春祭り」でもその形式が採用された。
ウイキペディアなどによると、能楽金春流は能の謡や舞を担当するシテ方で、6世紀後半に聖徳太子(しょうとくたいし、574-622)に近侍した秦河勝(はたの・かわかつ、生没年未詳)を遠祖としている。
「金春」という名称は能楽が大成された室町時代(1336年から1573年)に鬼能に長じた毘沙王権守(びしゃおうごんのかみ)の子どもが「金春権守(こんぱる・ごんのかみ)」という芸名を使ったことから生まれ、その孫で57世宗家の金春禅竹(こんぱる・ぜんちく、1405-1471)が世阿弥(ぜあみ、1363?-1443?)に師事し、娘婿となり、基礎を築いた。
能楽は戦国武将たちにも好まれ、豊臣秀吉(とよとみ・ひでよし、1537-1598)が62世宗家の金春安照(こんぱる・あんしょう、1549-1621)に師事したことから、金春流が公的な催能の際に中心的な役割を果たし、金春安照が重厚な芸風によって能界を圧倒し、大量の芸論や型付を書き残した。
しかし、江戸時代において金春流は観世流に次ぐ第2位とされたものの、豊臣家との親密さから流派は停滞期に入り、明治時代に金春宗家は奈良などで細々と演能を続けていた。こうした流儀の危機にあって、金春流の能楽師、桜間伴馬(さくらま・ばんま、1836-1917)が熊本藩細川家に仕えていたが、明治維新後に上京し、舞台、装束、面などが思うように手に入らない環境のなかで、東京において金春流を守った。
その後、79世金春信高(こんぱる・のぶたか)さんが上京し、他流に比べて整備の遅れていた謡本を改訂し(昭和版)、復曲などにつとめ、積極的に女流能楽師を認めるなど、多くの改革を行った。小鼓方大倉流、大鼓方大倉流、狂言方大蔵流は金春流から分かれたものという。
金春円満井会(こんぱるえんまんいかい)は1984年に金春流能楽の伝統を守り、能の振興を図るために設立され、1986年に社団法人化された。会員は約400人。
大蔵千太郎さんは1974年生まれ、25世大蔵弥太郎(おおくら・やたろう)さんの長男。2002年に「大蔵流若手狂言シン(SHIN)」を結成している。
金春安明さんは1952年奈良県奈良市生まれ、79世金春信高(こんぱる・のぶたか)さんの長男。1959年に興福寺での薪能(たきぎのう)「海人」子方で初舞台、1961年に「じょうじょう」で初シテ、学習院大学国文科を卒業、2006年に家元を継承した。
大蔵吉次郎さんは1950年生まれ、24世大蔵弥右衛門(おおくら・やうえもん)の次男、ニ松学舎大学を卒業、1989年に「吉次郎」を襲名した。現在、二松学舎大学と中京大学の講師を務めている。重要無形文化財能楽(総合指定)保持者。
金春憲和さんは1982年生まれ、金春安明さんの長男、6歳で子方で初舞台、13歳で初シテを経験する。
高橋忍さんは1961年奈良県大和郡山市生まれ、79世金春信高と父親の高橋汎(たかはし・ひろし)さんに師事、1971年に子方で初舞台、1982年に初シテ、1987年に能楽養成会を修了、1998年に「座・スクエア(SQUARE)」を結成している。国学院大学法学部を卒業している。
金春穂高さんは1965年奈良県生まれ、金春栄治郎(こんぱる・えいじろう、1895-1982)の孫で、金春晃実(こんぱる・てるちか、1931-2002)の長男。神戸大学教育学部を卒業、1969年に子方で初舞台、1978年に初シテなどを経験する。
観覧は無料で、16時から金春通りで座席指定券を配布する。
注:「大蔵流」と「大蔵千太郎」と「大蔵吉次郎」と「大蔵基誠」と「大蔵弥太郎」の「蔵」、それと「金春晃実」の「実」はいずれも正しくは旧漢字です。(2010-07-26)
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