コラム・レポート
ホンダの07年はマシン性能が問題だった(47)
【モータースポーツを拡げろ!】前回、トヨタのF1チームの現場の声を見てみたが、ホンダチームはどうだっただろうか。ホンダのモータースポーツのサイトをのぞいてみよう。
シニアテクニカルディレクターを務めた中本修平(なかもと・しゅうへい)は開幕戦のオーストラリアグランプリ(GP)後には「課題は明確です。起きている事象もつかんでいます。しかし、それをどう解決するかという糸口が見つからず、時間がかかってしまっているんですね。でも、とにかくそれを解決しないことには前に進めません」と語っている。
次のマレーシアGPの直前でのテスト後には「今のクルマはちょっと何かを変えると、ものすごくセンシティブ(過敏)な状態にあります。たとえば新パーツを導入したことでブレーキング時の安定性が良くなって、ダウンフォースの抜けもないと、どうしてもアンダーステア状態になりますね。それを消すために車体側の、たとえばスプリングをいじってみたりすると、またリアのダウンフォースが抜けてしまうとかね」
「ダウンフォース」とは、車体を路面に押し付ける力のことだ。高速でカーブを走行すると、この力が弱いとマシンが安定せず、スピードを弱めないといけなくなる。これはタイムに直結してしまうのだ。
一方、「アンダーステア」とは、カーブを走るためにハンドルを切っているときに、速度をあげるとクルマが外側へふくらんでいく特性を示す。ふくらまないようにマシンのスプリングをいじると、後輪側のダウンフォースがなくなり、スピードを下げざるを得ない、というわけなのだ。
第3戦のバーレーンGPでは「1コーナー後の短い区間でも、ブレーキング時の挙動不安定を直せないと、タイムロスが非常に大きくなってしまいます。冬にバーレーンで行ったテストでは、全部で1秒分くらい遅くなるほどダウンフォースを積まないと、ブレーキング時の挙動不安定は直らなかったんです。それが今では、コンマ6秒程度のロスで済むくらいまでは改善はしていますが、本質的には直っていません」とコメントしている。
直線からカーブに入るときのブレーキングでダウンフォースが弱いので、マシンが落ち着かず、そこからスピードを上げていくときになかなか速度が上がらない、という問題を抱えていた、ということになる。
最終のブラジルGP後に、レーステストマネージャーを務める田辺豊治(たなべ・とよはる)はこう語る。「RA107は前のクルマにくっついていると、いっそうフロントのダウンフォースが抜けてしまいます。それで抜きあぐねている間に、いっそうアンダーステアが強くなってしまうという状況でした」。
2007年を振り返ると「大きな前進を狙ってマシンを開発してきたわけですが、フタを開けてみるとどうもうまくいっていない。それはどういうことなのか、どうやったら戦闘力が回復するのか。その解析と対応に追われた1年でしたね」
方向性の違うマシンと、少しずつなだめながら格闘してきたのだろう。2008年はエンジニアたちが前向きに努力できるマシンの登場をぜひ望みたい(敬称略、【モータースポーツを拡げろ!】はモータースポーツについて毎週末に掲載します。若手ライターの平本真樹さんが書いています)。
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