コラム・レポート

F1規定の見直しで、チームの個性はどうなるか(48)

F1規定の見直しで、チームの個性はどうなるか(48)F1の狭いコクピット。ステアリングにもさまざまなボタンが付けられ、ハイレベルのドライビングを支える。

【モータースポーツを拡げろ!】F1などのモータースポーツは、さまざまな規定があり、マシンのルールも毎年めまぐるしく変わるものもある。それにあわなければ失格となってしまうのだから、チームの開発陣も必死だ。

F1の世界では「トラクションコントロール」の禁止が決まった。マシンの発進時や加速時に、タイヤの空転を防止するシステムだ。現在では、一般の市販車にも搭載され、雪道などで威力を発揮している。ドライバーが細かくエンジンの回転数を制御する苦労を軽減してくれるのだ。F1では、静止状態からスタートする。このシステムにより、タイヤが空転せずに発進ができるようになった。これを禁止する、というものである。


エンジンのシリンダーヘッドの製造工程。開発力の大きさはやはりいいマシンへの近道だ。

F1は最先端技術のカタマリだ。モータースポーツに関する技術を集め、少しでも速く、を追求している。これをまとい、ドライバーという専門のプロがコースという舞台で演じている。

しかし、これでは開発力のベースとなる資金力が大きいチームが、高性能の技術を集めやすくなる傾向がより強まってくることになる。トップチームと下位チームとの差をなるべく広げないようにして、競い合いの機会をつくろうというのが狙いと言える。

F1のマシンを支えるタイヤを供給するブリヂストンのエンジニア。温度や路面状況のチェックが欠かせない。

この話題をするとイメージが浮かぶのが、スキーのジャンプ、そしてノルディック複合だ。ジャンプ界はかつて原田雅彦(はらだ・まさひこ)、荻原健司(おぎわら・けんじ)といった選手が活躍し、日本が勝ちまくった。

これに対してルールを改正し、スキー板の長さについて、身長やBMIを元に算出するようにしたり、ジャンプのポイントを下げて、クロスカントリーの比重を上げるなど、規定が変わった。これを契機に日本人の活躍が目立って減ってしまったのは残念ではあるが、よりスポーツとしての競争性が高まり、見て面白い場面が増えたといえる。

モータースポーツでも、もちろん技術の追求をする場面は必要だが、ドライバーがその高い運転能力を発揮し、高いレベルでの争いが見たい。ならすべて同じマシンで争わせては、というのもひとつの提案だろう。

しかし、それでは、チームの個性が出にくくなる。フェラーリらしさ、マクラーレンらしさ、というのは、歴史の積み重ねとともに形作られてきた。チームらしさとドライバーらしさを両立させながら、見て楽しめるようにする制約であれば、むしろ歓迎すべきことなのだと思う(敬称略、【モータースポーツを拡げろ!】はモータースポーツについて毎週末に掲載します。若手ライターの平本真樹さんが書いています)。
富士スピードウェイ

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