コラム・レポート

米で低速発進の「スピードレーサー」、日本では?(70)

米で低速発進の「スピードレーサー」、日本では?(70)7月5日に全国で公開される「スピードレーサー」((C)2008 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved)。

【yokoso銀座キネマ館】6月28日に「花より男子ファイナル」が公開され、あっさりと「インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国」を抜き、1位になった。週末の興行収入は10億円である。

「インディ・ジョーンズ」は、先行上映が6億円、本格公開が8億円である。宣伝費では明らかに下回っている「花より男子ファイナル」の健闘は予想されていたものの、一気に「インディ・ジョーンズ」を抜いて1位になるとは、思わなかった。


「花より男子ファイナル」。

続いて7月5日には大作「スピードレーサー」が公開される。先ごろ東京ドームで、大規模な試写会を開催したので、ニュースなどでご存知の方も多いだろう。原案は、日本のアニメ「マッハゴーゴーゴー(GoGoGo)」だ。吉田竜夫(竜の子プロ)の1960年代のテレビアニである。

北アメリカでは「スピードレーサー」というタイトルで放映されており、そのまま今回の劇場用映画のタイトルになった。日本人には馴染みのある「マッハゴーゴーゴー」でも良いと思ったのだが、配給元のワーナーブラザースは、原題そのままの「スピードレーサー」を選択した。

「マトリックス」シリーズのウォシャウスキー兄弟が監督ということで、特撮が注目されている作品である。しかし北アメリカでは初登場3位と予想を大きく下回る出足で、スタートダッシュに失敗してしまった。

「スピードレーサー」の1場面。

実際に作品を見てみると、北アメリカで失敗した理由がよくわかる。ウォシャウスキー兄弟がオリジナルテレビアニメのファンであり、車や登場人物には、原作の雰囲気がうまく表現されている。プラスチッキーで敢えてチープな質感を演出しているのだと思うが、それが原作の雰囲気作りに貢献しているのだ。

しかし映画のストーリーや構成がわかりにくいものになってしまっており、全編を通じて大きなマイナス要因になっている。最大の欠点だと思えるのは、シナリオである。このシナリオは、十分吟味されたのだろうか?

「スピードレーサー」の1場面。

レースシーン以外では冗長なシーンが多く、その割には人間関係が複雑で、なかなか映画の中に入り込めないのだ。そのことによって、本来のターゲットである子供たちには、とてもわかりにくい映画になってしまったのではないだろうか。結局この映画、大人がターゲットなのか、子供がターゲットなのか、よくわからないのである。北アメリカでの興行の失敗は、正にターゲットが絞りきれなかった点にあるのではないだろうか。

また韓国の人気歌手、ピが、劇中では、日本人の役を演じている。同じく妹役も韓国女優なのだが、日本人としては、大変違和感の残るキャスティングであった。日本人には馴染みの深い原作だけに、今週末は、どのような結果になるのだろうか(敬称略。映画業界に精通しているハチさんが「銀座キネマ館」の支配人として不定期に映画の話を書きます)。
スピードレーサー公式サイト

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